裁判員体験記

 去年3月、まだ当時は学生でニッキをほぼ毎日書いてたわけですが、それを1週間空けたことがありました。実はコレ、裁判員裁判千葉地裁に毎日出ておりまして、候補名簿から外れて公にしてOKになった*1のでメモを残しておきます。実は候補者は年度でなく年区切りなので1月の時点で公表して良かったわけですが、その事に気づいたのが3月に入ってからだったのでこの際もう年度区切りでいいやと。
 ちなみに評議の内容には一生の守秘義務がありますが、法廷での内容は基本的にオープンなのと、あと裁判長に「たぶん年が明けたらネットに書く予定だけど、例えば○○って事は書いて問題ないか」とかいろいろ訊いたので、そのへんは大丈夫だと思ってください。

  • 2012年11月:ポストに最高裁判所からの郵便物が入っててビビる。開けてみると2013年の間の裁判員候補者名簿に記載されたとのこと(毎年30万人=0.3%くらいの確率)。一瞬「メンドっ!」と思うけど、よくよく考えたらネタ的に相当オイシイことに気付いて選ばれることを熱望するように。が、調べてみるとどうも候補者名簿に載ってからも相当ハードルが高い(名簿記載者が実際裁判員に選ばれる割合が10%程度)ことに気付いて諦めモードに。一応千葉は成田空港の麻薬とか絡みで当選確率は高いらしいけど。
  • 2013年2月:3月の裁判の裁判員候補に選ばれたとの通知が来る。候補を辞退するやむを得ない理由等があるかという質問票が。幸い学会とかもかぶってなかったので問題なし。
  • 2013年3月11日:候補者からの裁判員選任手続きの日。当然初めての千葉地裁。9時半開始はニートにはつらい。最寄りの本千葉駅にブッコフがあってやる気アップ。
    • 時間になってまず裁判所の人がやってきて、次に弁護人2人と検察1人が登場。弁護人と検察それぞれが候補者のうち5人まで排斥できる旨。
    • 開始後まずDVDでの簡単な説明。免許更新で受けるような演出過剰なやつじゃなく割と実務的な内容なので普通に見れる。
    • 続いて質問票回答。今回の事件が自宅への放火(罪状は現住建造物等放火罪)であることを簡単に説明したうえで、「身近なところで同類の事件があったために客観的な判断が出来ない可能性があるか」とかを回答。
    • 次に個別質問タイム。事前の予想では個別に面接っぽいのをするかと思ってて「死刑についてどう思いますか」とか訊かれたら「ハイ!バンバン出せます!」とか答えようと心の準備をしたたんだけど、実際には希望者だけのようで、個別質問で呼ばれていったのは2人のみ。
    • しばらくの間(たしか30分くらい)待ってから選任者の発表。ホワイトボードに候補者それぞれに割り振られてる番号が書かれていくのを祈りながら見て、裁判員リスト6人に自分の番号がないのを見てガックリ。が、補充裁判員2人に自分の番号が書かれて大逆転勝利!

というわけで補充裁判員にどうにか選ばれたわけです。裁判員との違いは下で。基本的に裁判1件につき候補者が30人程度呼ばれるらしいですが、事前の質問票の辞退により、実際に選任手続きで席が用意されていたのは24人分。ついでに2人分はドタキャンぽくてその場にいたのは22人で、そして個別質問の2人はどうも辞退っぽい雰囲気だったので、実際に選ばれる可能性があったのは20人。というわけで、呼び出しを食らったあとに辞退をしなかった場合、最終的には(裁判員6人+補充裁判員2人)/(非辞退者20人)=40%というそれなりに高い確率で裁判員か補充裁判員になれてたみたいです。抽選もどうも本当にランダムっぽくて(というか面接もないので基本的に選り好みできる要素がほとんどない)、せっかくスーツ来て面接イメトレもしてきたのに完全に無駄だった!逆にやりたくない人は辞退しない限りと結構な確率で選ばれてしまうということですね。

    • 午後は当選者のみが残って評議室へ。明日火曜から金曜までやることの説明したり自己紹介したり。
      • 僕らのチームは裁判官が男1・女2人(裁判長含む)で、裁判員・補充裁判員が男5女3となかなかバランスのいい人数比。あくまで抽選なので場合によっては男1人とか女1人とかのケースも普通にあるらしい。
      • 補充裁判員裁判員6人の誰かがやむを得ない理由で抜けるときに代わりとなる役目。裁判員6人の番号はただの便宜的なもので意味はないけど、補充裁判員2人は番号が欠員が出た時の優先順位になっていて、僕は1番(先に出動するほう)でした。
      • さて補充裁判員、法廷では発言権がなく、また評議*2でも多数決に参加する権利はなく意見も裁判官に求められた時のみ可能、とかなり制度上はオマケ感が強い立場。が、多数決の票がないといっても基本的には全会一致を目指すというのが理念だし、さらにウチの裁判長の場合、評議では普通に発言させてもらえ*3、また法廷での審理については事前に質問したい事を裁判官に伝えれば代わりに質問してくれて、そんなに正式な裁判員との差はありませんでした。僕の場合はもちろん被告人や証人に質問とかしてみたかったので残念だけど、「裁判員は面白そうだけど実際に法廷で発言するのは怖い」という人にはむしろベストポジションですね。
    • 一通り説明したら翌日以降使う法廷へ案内。この日は審理はなく空室となっているので弁護人席やら被告人席に座ってみたりと完全にお客さん。あと審理で実際に使ってる場面はその後やっぱり見なかったけど六法はアイテムとして置いてありますね。

翌日以降の裁判の概要についてはまた次回のニッキで。

*1:知人・友人・上司には期間中でも普通に話してOK。インターネット等を通じて「公に」するのはその年中はダメ。

*2:裁判官・裁判員が非公開でやる討議

*3:「常時意見を求めている状態ということにする」という扱いらしい