タクティクスオウガ感想

 エキストラバトルと合成はやらず普通に空中庭園をクリアしたとこまで。クリアするまでネットとかの情報収集はなし。ロウルート。ストーリーは素晴らしいのにとにかく戦闘が作業でダルいゲーム、というのが一番の感想。必殺技システムとかいろいろ面白くなりそうな要素は秘めてたのに、アホ過ぎるCPU思考とバランス調整ミスで全てが台無し。重厚なストーリーを全く緊張感のない戦闘が何もかもぶち壊してくれます。以下多少ネタバレあり。


  • ストーリー
    • 原作を先月クリアしたばっかだけどやっぱり面白い。むしろ直前にやったばっかだからこそ細かい変更点が分かって楽しい。伊藤悠(漫画家じゃないほう)が指摘してた「悪質なガン細胞」が15年を経て「悪質な腫瘍」に修正された。
    • 新規追加のエピソードとかセリフも奥深さを演出しててとても良い。特にカチュア、デニム、プレイヤー、アシタカを読んでカチュア大好きになった人間からするとカチュアの追加テキストはイメージに合致しててすごく良い。ところで↑のページのリンクがほとんど死んでてなんか時代を感じた。さみしいもんだね。
    • 新キャラのラヴィニスのロウルートでの展開は相当面白かった。あとオズマも*1
    • オクシオーヌの顔グラが年齢相応になってたのは地味に好印象。オバハンの顔グラでキスされる原作はさすがにちょい萎えるので。
    • 残念なのは次の4点くらい。
      • ザエボスが普通の悪役っぽくなっちゃった
      • レイプシーンがマイルドになってる
      • 思考表示のフキダシは表現として稚拙で萎える
      • 最近のスクエニっぽくラスボスに同情の余地が増えた。もう異形の化け物みたいなのはFFTだけでお腹いっぱい。
  • 音楽
    • 微妙・・・と思ったけどヘッドホンで聴いたらなかなか良かった。だからPSPじゃなくて据え置き機で欲しかった・・・。まあDSじゃないだけマシか。あとエンディングはホント最高。この曲のためだけにサントラ買うか検討中。
    • で音楽自体は悪くないけど使いどころが微妙。特に空中庭園。「明るさの限界を突破」じゃないのはいいとしても全然爽快感ない曲が流れたりもするので。
  • グラフィックとか演出とか
    • 魔法は原作でかなりダルかったのがかなり良くなってる。ただし原作のトニトルスやアニヒレーションみたいに「最高にカッコイイ!」って思うのは特になかった。
    • 剣のモーションは割と好き
    • 弓は何故かごんぶとで音もショボい。FFTはあんなにカッコ良かったのに。
    • 得意武器の構えがなくなったのは泣ける。特に大好きだった槍はどうしてこうなった・・・。貫通力が強化されてるのに使う気にならない。
    • 回避モーションで火花が散らないのが地味に痛い。まあ時代が時代だけに仕方ないけど、ドット絵で表現する部分については手抜き。視点移動してもキャラの向き表示が変わらないのですごい不自然だし。
    • 顔グラはこれはこれでなかなか。オリビアとかはSFC版の方が好きだけど全体的にはこっちの方が好き。ヴァイスは綺麗過ぎると思うけど。あとザエボスをブサイクに描いた奴は許さない。
    • スタッフロールが音楽の良さとの相乗効果でグラフィックも最高に映える。FFTやベイグラみたいな壁画調なのを期待してたけどこれはこれでなかなか。
  • インターフェースとか
    • オンラインヘルプ実質廃止。代わりに画面上に説明文が流れるんだけど、自分の意思でスクロール出来ないので、文の後半を確認するのに凄く時間がかかる。ただでさえ魔法とかスキルが膨大な数あって覚えられないというのにこれは痛い。
    • 敵のステータスを確認するのがすごくめんどい。原作だとキャラにカーソルを合わせてAを2回押すだけで敵の情報がほぼ全て得られたけど、PSP版では最初に表示されるのはステータスと能力値のみで、武器・スキル・魔法・必殺技とそれぞれ別個に確認しなきゃならない。せめて重要な「投射武器持ちか否か」「補助効果スキル」だけでも表示してくれたら大分楽になるのに。
    • WT最大値の表示がなくなったのが最大級にクソ。このせいで「移動すると敵に先にターンが回ってくるからここは移動せずに待機」みたいなことが気軽に確認できない。一応味方のWTを戦闘前に記憶しておいて戦闘開始時に足し引きすれば敵のWT最大値も分かるけど、こんなクソゲーでそんな確認をする気が起きない。
    • 画面下に大まかな行動順が表示されるようになったけど、それ以外の確認方法がかなり面倒になってる。明らかに同クラス(→グラフィックが同じ)のキャラが多くなるようなゲームシステムになってるのに同クラスのキャラの行動順が分かりにくいとか勘弁。原作でもFFTでも行動順がマップ上で確認できたのに何故廃止したんだ・・・。
  • 戦闘

とにかく退屈。作業。頑張った感じがしたのは1章クリザローの街・2章ガンプ戦(リーダー倒すだけなら超作業)・3章ボルデュー湖畔くらい。途中までは「ザコを全滅させてからリーダーを倒す」とか自分に課してたけどあまりにつまらないので後半は何も考えないようになった。まずシステムとか

    • CHARIOT(「待った」システム)考えた奴は本当に許さない。論外。リメイクとはいえ初回なのに制限プレイをしないと全くゲームにならないとか完全に終わってる。特に、一番崩壊せずゲームになってるのが1章なのに、その1章でうっかりこのシステムを使ってしまうと唯一のマトモなゲームを楽しむ機会を逃してしまうという
    • 原作で固いだけだったLサイズユニットが強くなってるのは良い。
    • 防具の性能も丁度いいと思う。もう少し重さに違いがあっても良かったかも?まあいずれにせよ原作の「防具を装備すればするほど弱くなる」という罠仕様が消えたのは好評価。
    • スキルとか武器防具とか魔法にレベル制限があるのはかなり微妙。いちいちレベルアップする度に「なんか新たに装備できるアイテムあったっけ?」と確認するのが非常にめんどい。これ自身はまあ許せなくないけど、スキルや魔法の種類数が(無駄に)膨大に多いことと合わさって非常にめんどい仕様になってる。
    • クリティカルおよびノックバック発生率が激増したのが謎。特にノックバックが頻発するのは戦術考えるのにあたって致命的に運ゲー度が上昇する。
    • 魔法の消費MPはかなり絶妙に出来てると思う。メラとメラゾーマでダメージはせいぜい5割くらいしか変わらないのに消費MPは3倍違うというのは渋い。FFTと違って詠唱時間がないという制約下でかなりうまくバランスを取ってると思う。たださすがに回復魔法は魔力依存でもいいと思った。
    • あと魔法が投射タイプメインになってるのも面白い。原作にくらべてキャラの隙間を縫いやすくなってる(例えば桂馬撃ちは他のキャラが間にいても届く)のであんまりストレスを感じることがなく*2、一方で放出系と違って位置取りを考える楽しみがある。
    • 魔法の威力自体はよく出来てると思うけど、攻撃魔法が実質的にほぼ単体オンリーになってるのは微妙。原作の場合は「方陣を組むか狭い場所で固いキャラを並べて柔らかいユニットを守る」という強力な戦法の弱点が13パネル攻撃魔法となっていて、そのセイレーンやウィザードを如何に処理するかが楽しいポイントの1つだったわけですが、今回ホント方陣崩される機会が皆無。テラーナイトの恐怖効果も実質廃止されたし。
    • で一方の弓は大幅強化。移動距離4パネルしかないのに弓が9パネル先まで届くって正気とは思えない。今回当初は色々武器を使ってみるつもりだったのに気付いたら自然にほぼ弓オンリーになってた。
    • 必殺技システムはかなり良い。「無駄に攻撃してダメージ与えると敵のゲージが溜まって必殺技を食らう」「死ぬとゲージが空になるので(復活が容易とはいえ)死なないのが望ましい」と戦術に奥行きを与えるいいアクセントになってる。
    • 敵の行動の効果予想表示が一瞬で消えるのが最悪。予想ダメージや命中率でこっちの行動も変わってくるっつうのに。
    • パリイの効果が命中率の効果予想に反映されないのがゴミクズ。なんで命中率知りたいだけでわざわざ敵のステータス画面開いてスキル確認しなきゃならんのだ。

 次に一番致命的な敵の思考パターンについて。

    • お互い補助魔法(しかも魔法使い系に直接攻撃力アップとか平気でやる)を掛け合うばかりで時々思い出したように一部のユニットだけ突撃してくる、とかホント勘弁してほしい。序盤でランスロットさんが「各個撃破が重要」とか言ってるけど、これじゃどうやっても各個撃破にしかならない。ワイルドアームズクロスファイアでもそうだったけど、敵が補助魔法使うようになる後半になればなるほど敵が弱くなるってホントどうにかならんのか。原作じゃ「CPUがひたすら味方にヒートウェポンかけ続ける」なんてなかったぞ。「CPUはクイックムーブを使わない」みたいな原作の仕様ほうがよっぽど潔い。
    • 「70食らって回復量25の薬草を使う」とかホントに多くて萎える。
    • こっちのユニットの正面から攻撃→こっちのユニットの隣に移動はさすがに笑った。移動してから殴れよ!
    • なぜかボスがやたら待機したがるのが本当にクソ。もうボス廃止しろよ。
    • 「こっちとほぼ全く同じ能力の敵ユニットが出てくる」という仕様のラスボス戦はある意味象徴的だった。ドルガルアがいるぶん敵有利なのに実際には敵思考がアホ過ぎるせいで特に何事もなく終わるという。

 最後に育成システムについて。レベルがユニットごとでなくクラスごととか、まあこれはこれで有りなのかもしれないけど、「原作の石投げて云々は不毛で面倒なので」とか言ってたのに逆に原作より作業度が増したシステムになってるのはなんかなあ。

    • 「物理攻撃力アップ」とか「魔法命中率アップ」とか、そのキャラに対応した行動の強化スキルをつけないと大抵「ダメージ1」とか「命中率激低」とかになって事実上これが必須スキルになってるのが萎える。だったら初めから要らないような調整にしろよと。
    • 同様に武器や魔法の熟練度についても、非常に成長が遅いうえに熟練度が少し低いとすぐ「ダメージ1」になるので、結局ひたすら同じ武器とか魔法で殴り続けないといけない
    • 特に、長く戦闘で使ったキャラには(カード成長以外にも)ボーナスがあるっぽいうえ、スキルを引き継いでも熟練度は1からやり直しになるので「そのユニットが死んだら気軽に新規キャラ雇って云々」とか松野が言ってたやり方は全く現実的じゃない。結局殺したのはミルディン枠のためのヴァルキリー1人のみ。もっとガンガン殺すつもりだったのに。
    • まあこれは個人的に嫌というだけだけど、エキストラバトルというかレベル上げをやらないプレイをすると実質的に固有クラスが選択肢に入らないのはどうかと思う(レベル1スタートなので)。というか使用クラスが著しく少なくなる*3。実際好みで使ったプリンセスは最後までレベルが追い付かずただの回復役だったし(攻撃しようとしても予想ダメージが常に1)。せめて固有クラスくらい初期レベル1じゃなくてもいいのに。

というわけで、主な不満点は敵思考と育成システムおよびインターフェースというところでしょうか。なんかもうスクエニには完全に希望を失ったので、もし今後ロマサガ2がゲーム機にリメイクされることになってもしばらく様子見になりそう。

*1:もちろん仲間になるなんて知らなかったのでラヴィニスは最速で死んでオズマはイクラちゃんになった

*2:ただし発射高度はユニットの高度そのものになった

*3:使ったのはヴァルキリー・アーチャー・クレリック・ウィッチ・カノープス・カチュアのみ。ミルディンとギルダスはヴァルキリーとアーチャーにした