合宿最終日。一応宿で解散という体裁を取りつつ他の部員のほとんどは鳥羽8:10発のフェリーに乗るため早朝に出発していきました。しかし合宿初日に思うように伊勢参りが出来なかったのが心残りなので、僕だけは宿をもう1泊取って1日伊勢巡りをしてきました。
さてさて話は変わりますが半分の月がのぼる空(以下半月)という伊勢が舞台のライトノベルがあります。その物語上重要な場所に虎尾山(作中では砲台山)という山(というか小高い丘)があり、ここは実在して戦前は市民の憩いの場として整備されていましたが、戦後は忘れ去られて土砂やらゴミの不法投棄やらで荒れ果てた場所になっていました。で、半月の出版後、その近所に住むPTA会長さんが半月ファンやら小説に登場した地元の店やらと協力してNPO法人「自利利他」を立ち上げて清掃活動に当たっているという心温まるエピソードがあります。そんなわけで伊勢巡りの半分はこの舞台訪問でした。
他の人達は既に出ていった志摩の宿で7時にのんびり飯を食って7時半に出発、小さな峠をひとつ越えて10時頃伊勢に到着しました。とりあえず本日の宿であるビジネスホテル山本に荷物を置いて伊勢参りに出発。このビジネスホテル山本は自利利他の会長が経営する家族経営っぽい感じの古めのホテルで、有り難いことに半月ファンにはサービス価格になります。また自利利他の活動として無料レンタサイクルもやっており、駅にはこんな感じの

案内板もあります。以下廻った順に。

・外宮(げぐう)


伊勢市駅から近いほうのお宮。伊勢神宮には内宮(ないぐう)と外宮があり、それぞれ一番大きい正宮のほかにたくさんの別宮があります。下の写真は別宮の1つ。やはり天下の伊勢だけあって荘厳な建物の数々で、眺めていて清清しい気分になってきました。こんだけ広い所をきれいに維持するのは大変だろうなあ。上の写真では右の建物から雅楽の音が聞こえてきてなかなか優雅でした。それにしても平日だというのに人が多い。

まんぷく食堂

宇治山田駅前にある半月に出てきた店。やはり小説に出てきた「からあげ丼特盛り」を食べました。大盛り50円+大盛り50円=特盛り100円らしいですが案外普通の量。ここも自利利他に賛同しているお店で、おっちゃんと「どっから来たの?」みたいな話をしつつ舞台訪問マップ(写真に写ってるやつ)を頂きました。

・虎尾山

非常に低い山なので一瞬で登頂。頂上にある登頂者用書き込みノートを見るに毎日数人は登ってくる人がいるようです。僕が登った時も豊橋から日帰りで来たという高校生っぽい人がいて、いくらか話をしました。聞いていたとおり頂上は木が生い茂っていて見通しは悪く、舞台となった病院を見つけることは出来ませんでした。

・内宮



伊勢市駅から4キロほど走ったところにあるお宮。沿って流れる五十鈴川は清流と名高いそうですがぱっと見では魚はいませんでした。こちらも綺麗な場所で、のんびり正宮や別宮を見て回りました。あんまり別宮がいっぱいあるので10円ずつ賽銭を投げてたのに100円くらい使ったっぽいです。

・おはらい横丁

内宮のすぐそばにある通りで土産物屋やら食事処やらがたくさん並んでいます。目当ては伊勢名物の赤福を本店の座敷で食べること。赤福ってのは要は餅をアンコで包んだ大福の逆みたいなもんですが、餅とアンコが素晴らしく美味しい。赤福3つ+お茶で280円ですが優雅なひとときを過ごせました。調子に乗って支店のほう(これもおはらい横丁にある)で赤福ぜんざい550円も頂きました。次は夏に来て赤福氷も食べたいなあ。

猿田彦神社

内宮の近くにある歴史ある神社。半月の里香が声を張り上げてバイトをしていた場所ですが当然静かなところでした。


ほかにも別宮の1つである月夜見宮(つきよみのみや)に行ったり市中散策をしたりして宿へ戻りました。また、半月によると「伊勢では注連飾り(しめかざり。正月に飾るアレ)を1年中つける」という風習があるとのことで、民家を見てみると確かに至る所でもう3月だというのに注連飾りがありました。
宿に戻ってからは会長さんや小母さん(会長のお母さん?)から伊勢の見どころや虎尾山の清掃活動について聞いたり自利利他が地元の新聞に載った記事を見せてもらったりとこれまた有意義な時間を過ごせました。地元では若者以外にも半月を読んだという人が結構いるそうな。マンガとかゲームの舞台訪問っていうと地元の人からは煙たがられてることが多いっぽいのでこういうケースはなかなか珍しいなあと思いました。