塩見岳登山2日目

 普段僕は登山中かなり寝つきが悪く、山小屋泊でもなかなか眠れない&しょっちゅう目が覚めるパターンが多いですが、今回は10時半と1時半に目が覚めただけ。1時半に起きた時に「ああ次は12時頃また目が覚めるだろうな」と思ったら1時半になっててビビった。ところで今夜はかなり月が明るくヘッドランプなしでも普通に歩き回れ、携帯で周囲を照らす必要がある場面はほとんどありませんでした。まあ月が明るいぶん星はロクに見えないわけですが。さすがにトイレはドアを閉めたら真っ暗だけど、この時間は人いないのでドア開け放してウンコすれば万事OK。
 で3時になったら行動開始。チキンラーメン忘れたので朝飯はビスケット。火と使う必要がないので当然一瞬で食い終わるわけですが、ヒロセさんもそれに合わせてラーメン作らず携帯食で済ませてくれました。ありがたや。
 というわけで準備もすぐに済み3時45分に出発。さすがに月明かりだけでは若干厳しいのでヒロセさんのヘッドライトで照らしてもらいながら歩きます。日の出前の山歩きってのは初めてですが、前がよく見えないからか逆に怖いもの知らずで早足になり、気付けば最初のコースタイム80分の区間を40分で踏破。その後も快調に飛ばし、塩見小屋へはコースタイムを約1時間短縮して5時50分に到着。やはり荷物が軽いと楽だなあ。さすがにこの時間だと涼しいので水分消費も激しくないし。しかし昔は山だと長袖着ないとそれなりに寒かったけど、最近は半袖一枚でも割と暑い。山で半袖って安全的にあんまりよろしくないんですが暑いから仕方ない。エアコンの寒さにもこんくらい強くなれればいいんですがね。

塩見小屋。手前のはトイレ。
 さて塩見岳は山頂手前で急激に高度を上げる地形になっており、ここまでは大部分が樹林帯の道でしたがここから一気に高山礫地の道に。ちょっと危なっかしい岩場もあり、人が多い時間帯に通ったら相当面倒なことになりそう。まあしかし小屋からコースタイム80分と距離自体はそんなに長くなく、おまけに今回はあまり高山植物にかまけずしっかり前を見て歩いてるので案外あっさり塩見岳の西峰と東峰を制覇。

西峰。

東峰と富士山。

西峰と東峰はすぐそば。

シコタンソウ。
 山頂は風が強くて若干寒く、あんまり長くいるのも辛いので10分程度で出発。あとは来た道を戻るだけですが、ここからが問題。ここ数年は山道の下りが非常にしんどく、コースタイムをほとんど切れないことが多かったので戦々恐々。ただ、今回は荷物が少ないおかげで下りでもそれほどスピードが落ちず、また山頂付近以外は下ったり登ったりという道のため行きとあまりタイムに差が出ず9時半前にはテント場に戻ってこれました。帰り道でコースタイム4割短縮というのはかなり久々な気がする。
 連休最終日かつ台風接近中ということでテント場戻ってみると一気にテントが減っており、実際雲行きも若干怪しくなってきたのでとっととテント畳んで撤収。近くでオッチャンがアンテナ立てて「こちら三伏峠、日本で一番高い峠よりお送りしてます、どうぞ」みたいな感じでラジオ通信?っぽいことしてたけど何者だったんだ。
 んでここからが最後の戦い。昨日歩いたコースタイム160分の道を下るだけですが、さすがにアタック背負った下りは一気にペースが落ちる。これまではそれなりに拮抗したペースでヒロセさんと歩いていましたが、ここからはあからさまにヒロセさんを待たせる形になって申し訳ない気持ちに。まあ申し訳ないからといってスピードが上がるわけでもなく、他の登山客に抜かれるという失態を演じつつちんたら下っていきました。おまけに2/3ほど下ったあたりでついに雨がパラパラ降り始め、休みたいけど休めずに半ば涙目で歩くという有様に。やはり下りは地獄と言わざるを得ない。そんなわけで苦しみ抜いて駐車場には目標だった12時前にどうにか到着できました。最後の駐車場までの舗装路ではおそらくゼフィルス獲ってるっぽいオヤジとかがいて「高山」から「山」に戻ってきたと実感。最終リザルトは

区間 実際の移動時間 コースタイム 短縮率
三伏峠キャンプ場〜塩見岳 175分 280分 0.63
塩見岳三伏峠キャンプ場 155分 250分 0.62
三伏峠キャンプ場〜鳥倉登山口 100分 120分 0.83
鳥倉登山口〜駐車場 20分 40分 0.5
合計 450分 690分 0.65

というわけで荷物を背負った下り道だけ異様に遅い。まあ今回は「下りでも荷物軽ければ案外スピード出る」ということを学んだので、今度アタック背負って登山する時は極力荷物を軽くなるよう心がけよう。コースタイム11時間半、しかも時間短縮が前提なんてコース今まで組んだことがなかったので、今回はまた自分の限界を一つ切り開けた気がします。

 さて帰りはとりあえず汗まみれの体を清めるべくどっかの温泉に行こうということに。他のキャンプ客の口コミにより鹿塩温泉が良さげということに。道の駅的っぽい場所で情報収集したところ日帰り温泉は要確認とのこと。というわけで宿の一つに電話してみたところ、1時で受付終了というところに「1時10分には着きます」ということで無理矢理予約をねじ込め無事入浴できました。ここで何より素晴らしかったのは「温度調整していません」という源泉の浴槽が用意されてることで、31℃というぬるめの温度が登山で火照った体には最高に気持ち良く、存分に疲れを癒せました。
 入浴を済ませたらいよいよ帰路へ。帰る途中の道路でまたさっきの蝶採集オヤジ達に遭遇。こいつら楽しそうだな!僕もたまには独りじゃなくて誰かと一緒に淡水魚採集とかしたい。さて、こちらは風呂も済ませていい加減空腹がヤバいわけですが、昼飯食おうにも飲食店がロクにない。せっかくカーナビ頼りに行ってみても準備中と大変やる気がない店ばっかりなので結局駒ヶ岳SAで済ませることに。まあサービスエリアでは女子サッカー優勝とか新情報も得られたし悪くないか。
 高速道路は長野にいるうちは空いてましたが、さすがに山梨まで来ると勝沼で軽い渋滞があったりと連休最終日の様相を呈し始め、しまいに「八王子まで 4時間以上」とか絶望的な表示が現れ始めて大月でたまらず撤退。まあ下道も当然渋滞してるけどひたすら変化のない高速道を走るよりはマシですね。
 さてヒマな車内で欠かせないのが音楽。僕とヒロセさんが持ってきたCDは既に一通りかけ終わってしまってましたが、この車のカーナビはCD入れると自動的に中身をインポートするようになっており、つまりは過去この車を借りた人のCDが聴き放題。ラーメンズ日本語学校入れた人GJ!ついでに録音日時とかも分かるので、「深夜から早朝にかけてトランス流してる若者」とか「子どものうた集を流してる家族連れ」とかいろいろドライブの様子を想像するのが楽しい。ていうかたらこキューピーの歌とかおしりかじり虫とか初めてフルで聴いたけど子供向けの歌はナニが流行るかサッパリ分かりませんね。難解過ぎる。
 そして何よりスゴかったのが90年代J-POPメドレー的なCD。どの曲もちょうど見せ場が過ぎた後の不自然にならないような位置で次の曲に切り替わるように編集してあり、しかもモノによっては次曲のサビを転調させて混ぜてから曲を切り替えたりとムダに力が入ってる。一方で曲と曲の間に微妙な間隔があったりと手作り感が満載で、作った男(たぶん)がニヤニヤしながら編集してる様子が目に浮かぶよう。で、30曲ちょい終わったあたりでついにメドレーが途切れ「ついに終わりか?」と思いきや、「アンコール!アンコール!」と何処からか拾ってきた掛け声が流れ始め、また再びメドレーが始まるという。そして最後の最後はチャゲアスの Yah Yah Yah ・・・と思いきやまた別の曲に移り、最後の最後に Yah Yah Yah のサビに戻ってフィナーレ!なんという力作・・・つうかこれを直接聴かされたら間違いなく引く。まあこいつのおかげで最後の1時間半は笑って過ごせました。
 さて武蔵新城のレンタカー屋に戻ってくると9時半。渋滞でどうなるかと思いましたが無事延長料金なしで返却できました。レンタカー代ガス代高速代合わせて24000円って電車より全然安いですね。ホント長時間の運転ヒロセさんお疲れ様でした。大感謝!さあ次は槍ヶ岳だ!